例: StatefulSetを使用したCassandraのデプロイ
このチュートリアルでは、Apache CassandraをKubernetes上で実行する方法を紹介します。 データベースの一種であるCassandraには、データの耐久性(アプリケーションの 状態)を提供するために永続ストレージが必要です。 この例では、カスタムのCassandraのseed providerにより、Cassandraクラスターに参加した新しいCassandraインスタンスを検出できるようにします。
StatefulSetを利用すると、ステートフルなアプリケーションをKubernetesクラスターにデプロイするのが簡単になります。 このチュートリアルで使われている機能のより詳しい情報は、StatefulSetを参照してください。
CassandraとKubernetesは、ともにクラスターのメンバーを表すために ノード という用語を使用しています。このチュートリアルでは、StatefulSetに属するPodはCassandraのノードであり、Cassandraクラスター( ring と呼ばれます)のメンバーでもあります。これらのPodがKubernetesクラスター内で実行されるとき、Kubernetesのコントロールプレーンは、PodをKubernetesのNode上にスケジュールします。
Cassandraノードが開始すると、 シードリスト を使ってring上の他のノードの検出が始まります。 このチュートリアルでは、Kubernetesクラスター内に現れた新しいCassandra Podを検出するカスタムのCassandraのseed providerをデプロイします。
目標
- Cassandraのheadless Serviceを作成して検証する。
- StatefulSetを使用してCassandra ringを作成する。
- StatefulSetを検証する。
- StatefulSetを編集する。
- StatefulSetとPodを削除する。
始める前に
Kubernetesクラスターが必要、かつそのクラスターと通信するためにkubectlコマンドラインツールが設定されている必要があります。 このチュートリアルは、コントロールプレーンのホストとして動作していない少なくとも2つのノードを持つクラスターで実行することをおすすめします。 まだクラスターがない場合、minikubeを使って作成するか、 以下のいずれかのKubernetesプレイグラウンドも使用できます:
このチュートリアルを完了するには、Pod、Service、StatefulSetの基本についてすでに知っている必要があります。
Minikubeのセットアップに関する追加の設定手順
Minikubeは、デフォルトでは1024MiBのメモリと1CPUに設定されます。 デフォルトのリソース設定で起動したMinikubeでは、このチュートリアルの実行中にリソース不足のエラーが発生してしまいます。このエラーを回避するためにはMinikubeを次の設定で起動してください:
minikube start --memory 5120 --cpus=4
Cassandraのheadless Serviceを作成する
Kubernetesでは、Serviceは同じタスクを実行するPodの集合を表します。
以下のServiceは、Cassandra Podとクラスター内のクライアント間のDNSルックアップに使われます:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
labels:
app: cassandra
name: cassandra
spec:
clusterIP: None
ports:
- port: 9042
selector:
app: cassandra
cassandra-service.yaml
ファイルから、Cassandra StatefulSetのすべてのメンバーをトラッキングするServiceを作成します。
kubectl apply -f https://k8s.io/examples/application/cassandra/cassandra-service.yaml
検証 (オプション)
Cassandra Serviceを取得します。
kubectl get svc cassandra
結果は次のようになります。
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE
cassandra ClusterIP None <none> 9042/TCP 45s
cassandra
という名前のServiceが表示されない場合、作成に失敗しています。よくある問題のトラブルシューティングについては、Serviceのデバッグを読んでください。
StatefulSetを使ってCassandra ringを作成する
以下に示すStatefulSetマニフェストは、3つのPodからなるCassandra ringを作成します。
apiVersion: apps/v1
kind: StatefulSet
metadata:
name: cassandra
labels:
app: cassandra
spec:
serviceName: cassandra
replicas: 3
selector:
matchLabels:
app: cassandra
template:
metadata:
labels:
app: cassandra
spec:
terminationGracePeriodSeconds: 1800
containers:
- name: cassandra
image: gcr.io/google-samples/cassandra:v13
imagePullPolicy: Always
ports:
- containerPort: 7000
name: intra-node
- containerPort: 7001
name: tls-intra-node
- containerPort: 7199
name: jmx
- containerPort: 9042
name: cql
resources:
limits:
cpu: "500m"
memory: 1Gi
requests:
cpu: "500m"
memory: 1Gi
securityContext:
capabilities:
add:
- IPC_LOCK
lifecycle:
preStop:
exec:
command:
- /bin/sh
- -c
- nodetool drain
env:
- name: MAX_HEAP_SIZE
value: 512M
- name: HEAP_NEWSIZE
value: 100M
- name: CASSANDRA_SEEDS
value: "cassandra-0.cassandra.default.svc.cluster.local"
- name: CASSANDRA_CLUSTER_NAME
value: "K8Demo"
- name: CASSANDRA_DC
value: "DC1-K8Demo"
- name: CASSANDRA_RACK
value: "Rack1-K8Demo"
- name: POD_IP
valueFrom:
fieldRef:
fieldPath: status.podIP
readinessProbe:
exec:
command:
- /bin/bash
- -c
- /ready-probe.sh
initialDelaySeconds: 15
timeoutSeconds: 5
# These volume mounts are persistent. They are like inline claims,
# but not exactly because the names need to match exactly one of
# the stateful pod volumes.
volumeMounts:
- name: cassandra-data
mountPath: /cassandra_data
# These are converted to volume claims by the controller
# and mounted at the paths mentioned above.
# do not use these in production until ssd GCEPersistentDisk or other ssd pd
volumeClaimTemplates:
- metadata:
name: cassandra-data
spec:
accessModes: [ "ReadWriteOnce" ]
storageClassName: fast
resources:
requests:
storage: 1Gi
---
kind: StorageClass
apiVersion: storage.k8s.io/v1
metadata:
name: fast
provisioner: k8s.io/minikube-hostpath
parameters:
type: pd-ssd
cassandra-statefulset.yaml
ファイルから、CassandraのStatefulSetを作成します:
# cassandra-statefulset.yaml を編集せずにapplyできる場合は、このコマンドを使用してください
kubectl apply -f https://k8s.io/examples/application/cassandra/cassandra-statefulset.yaml
クラスターに合わせてcassandra-statefulset.yaml
を編集する必要がある場合、 https://k8s.io/examples/application/cassandra/cassandra-statefulset.yaml をダウンロードして、修正したバージョンを保存したフォルダからマニフェストを適用してください。
# cassandra-statefulset.yaml をローカルで編集する必要がある場合、このコマンドを使用してください
kubectl apply -f cassandra-statefulset.yaml
CassandraのStatefulSetを検証する
-
CassandraのStatefulSetを取得します
kubectl get statefulset cassandra
結果は次のようになるはずです:
NAME DESIRED CURRENT AGE cassandra 3 0 13s
StatefulSet
リソースがPodを順番にデプロイします。 -
Podを取得して順序付きの作成ステータスを確認します
kubectl get pods -l="app=cassandra"
結果は次のようになるはずです:
NAME READY STATUS RESTARTS AGE cassandra-0 1/1 Running 0 1m cassandra-1 0/1 ContainerCreating 0 8s
3つすべてのPodのデプロイには数分かかる場合があります。デプロイが完了すると、同じコマンドは次のような結果を返します:
NAME READY STATUS RESTARTS AGE cassandra-0 1/1 Running 0 10m cassandra-1 1/1 Running 0 9m cassandra-2 1/1 Running 0 8m
-
1番目のPodの中でCassandraのnodetoolを実行して、ringのステータスを表示します。
kubectl exec -it cassandra-0 -- nodetool status
結果は次のようになるはずです:
Datacenter: DC1-K8Demo ====================== Status=Up/Down |/ State=Normal/Leaving/Joining/Moving -- Address Load Tokens Owns (effective) Host ID Rack UN 172.17.0.5 83.57 KiB 32 74.0% e2dd09e6-d9d3-477e-96c5-45094c08db0f Rack1-K8Demo UN 172.17.0.4 101.04 KiB 32 58.8% f89d6835-3a42-4419-92b3-0e62cae1479c Rack1-K8Demo UN 172.17.0.6 84.74 KiB 32 67.1% a6a1e8c2-3dc5-4417-b1a0-26507af2aaad Rack1-K8Demo
CassandraのStatefulSetを変更する
kubectl edit
を使うと、CassandraのStatefulSetのサイズを変更できます。
-
次のコマンドを実行します。
kubectl edit statefulset cassandra
このコマンドを実行すると、ターミナルでエディタが起動します。変更が必要な行は
replicas
フィールドです。 以下の例は、StatefulSetファイルの抜粋です:# Please edit the object below. Lines beginning with a '#' will be ignored, # and an empty file will abort the edit. If an error occurs while saving this file will be # reopened with the relevant failures. # apiVersion: apps/v1 kind: StatefulSet metadata: creationTimestamp: 2016-08-13T18:40:58Z generation: 1 labels: app: cassandra name: cassandra namespace: default resourceVersion: "323" uid: 7a219483-6185-11e6-a910-42010a8a0fc0 spec: replicas: 3
-
レプリカ数を4に変更し、マニフェストを保存します。
これで、StatefulSetが4つのPodを実行するようにスケールされました。
-
CassandraのStatefulSetを取得して、変更を確かめます:
kubectl get statefulset cassandra
結果は次のようになるはずです:
NAME DESIRED CURRENT AGE cassandra 4 4 36m
クリーンアップ
StatefulSetを削除したりスケールダウンしても、StatefulSetに関係するボリュームは削除されません。 StatefulSetに関連するすべてのリソースを自動的に破棄するよりも、データの方がより貴重であるため、安全のためにこのような設定になっています。
-
次のコマンドを実行して(単一のコマンドにまとめています)、CassandraのStatefulSetに含まれるすべてのリソースを削除します:
grace=$(kubectl get pod cassandra-0 -o=jsonpath='{.spec.terminationGracePeriodSeconds}') \ && kubectl delete statefulset -l app=cassandra \ && echo "Sleeping ${grace} seconds" 1>&2 \ && sleep $grace \ && kubectl delete persistentvolumeclaim -l app=cassandra
-
次のコマンドを実行して、CassandraをセットアップしたServiceを削除します:
kubectl delete service -l app=cassandra
Cassandraコンテナの環境変数
このチュートリアルのPodでは、Googleのコンテナレジストリのgcr.io/google-samples/cassandra:v13
イメージを使用しました。このDockerイメージはdebian-baseをベースにしており、OpenJDK 8が含まれています。
このイメージには、Apache Debianリポジトリの標準のCassandraインストールが含まれます。
環境変数を利用すると、cassandra.yaml
に挿入された値を変更できます。
環境変数 | デフォルト値 |
---|---|
CASSANDRA_CLUSTER_NAME |
'Test Cluster' |
CASSANDRA_NUM_TOKENS |
32 |
CASSANDRA_RPC_ADDRESS |
0.0.0.0 |
次の項目
- StatefulSetのスケールを行う方法を学ぶ。
- KubernetesSeedProviderについてもっと学ぶ。
- カスタムのSeed Providerの設定についてもっと学ぶ。