リソースメトリクスパイプライン

Kubernetesでは、コンテナのCPU使用率やメモリ使用率といったリソース使用量のメトリクスが、メトリクスAPIを通じて提供されています。これらのメトリクスは、ユーザーがkubectl topコマンドで直接アクセスするか、クラスター内のコントローラー(例えばHorizontal Pod Autoscaler)が判断するためにアクセスすることができます。

メトリクスAPI

メトリクスAPIを使用すると、指定したノードやPodが現在使用しているリソース量を取得することができます。 このAPIはメトリックの値を保存しないので、例えば10分前に指定されたノードが使用したリソース量を取得することはできません。

メトリクスAPIは他のAPIと何ら変わりはありません。

  • 他のKubernetes APIと同じエンドポイントを経由して、/apis/metrics.k8s.io/パスの下で発見できます。
  • 同じセキュリティ、スケーラビリティ、信頼性の保証を提供します。

メトリクスAPIはk8s.io/metricsリポジトリで定義されています。 メトリクスAPIについての詳しい情報はそちらをご覧ください。

リソース使用量の測定

CPU

CPUは、一定期間の平均使用量をCPU coresという単位で報告されます。 この値は、カーネルが提供する累積CPUカウンターの比率を取得することで得られます(LinuxとWindowsの両カーネルで)。 kubeletは、比率計算のためのウィンドウを選択します。

メモリ

メモリは、測定値が収集された時点のワーキングセットとして、バイト単位で報告されます。 理想的な世界では、「ワーキングセット」は、メモリ不足で解放できない使用中のメモリ量です。 しかし、ワーキングセットの計算はホストOSによって異なり、一般に推定値を生成するために経験則を多用しています。 Kubernetesはスワップをサポートしていないため、すべての匿名(非ファイルバックアップ)メモリが含まれます。 ホストOSは常にそのようなページを再請求することができないため、メトリックには通常、一部のキャッシュされた(ファイルバックされた)メモリも含まれます。

メトリクスサーバー

メトリクスサーバーは、クラスター全体のリソース使用量データのアグリゲーターです。 デフォルトでは、kube-up.shスクリプトで作成されたクラスターにDeploymentオブジェクトとしてデプロイされます。 別のKubernetesセットアップ機構を使用する場合は、提供されるdeployment components.yamlファイルを使用してデプロイすることができます。 メトリクスサーバーは、Summary APIからメトリクスを収集します。 各ノードのKubeletからKubernetes aggregator経由でメインAPIサーバーに登録されるようになっています。

メトリクスサーバーについては、Design proposalsで詳しく解説しています。

Summary APIソース

Kubeletは、ノード、ボリューム、Pod、コンテナレベルの統計情報を収集し、Summary APIで省略して消費者が読めるようにするものです。

1.23以前は、これらのリソースは主にcAdvisorから収集されていました。しかし、1.23ではPodAndContainerStatsFromCRIフィーチャーゲートの導入により、コンテナとPodレベルの統計情報をCRI実装で収集することができます。

注意: これはCRI実装によるサポートも必要です(containerd >= 1.6.0, CRI-O >= 1.23.0)。